
体側を伸ばすポーズをやってみたけど、全然伸びている感じがしない…… そんな経験をしたことはありませんか?
レッスンや動画でもしているのに伸びが実感できないのはとても残念なこと。実は、ちょっとした姿勢や動作のクセで効果が半減してしまいます。体側をしっかりと伸ばすためにありがちなこと、しっかり伸びるコツを解説します。デスクワークや日常生活に取り入れて、スッキリしてくださいね。
体側を伸ばすこと、普段の生活であまりしない動作の一つになりました。スマホやパソコン作業で前かがみな姿勢や座りっぱなしが多く、しっかり伸ばす機会が減っています。上体を横にたおす動きは背中や体幹の側面をストレッチします。体側を伸ばすと、以下の体にいい効果が生まれます。

上体を横にたおす、側屈は呼吸に関わる筋肉を動かします。呼吸で使う筋肉(呼吸筋)の一部、肋間筋(ろっかんきん)や腹斜筋などがストレッチされ、強張りをほどきます。
実際にするとわかるのですが、体を横にたおすだけではあまり感じません。伸ばしている体側の手を持ち上げることで、脇から胸の側面まで伸びていることがよくわかります。継続的に伸ばすとこれらの筋肉が徐々柔らかくなり、肺の動きが改善される。その結果、呼吸がしやすくなると言われています。
そして、ヨガはポーズに合わせて呼吸を意識するので、同時に肺もよく動かします。呼吸筋が働くことで肺が動きやすくなり、呼吸が深くなるのは想像がつきますね。
呼吸が浅い人は、肩や鎖骨あたりの肺の上部だけを使うので、呼吸筋が硬くなって使いづらい状態です。少しでも呼吸筋を動かしやすくするために、ヨガでは体側を伸ばすポーズを取り入れています。
また、体側を伸ばすポーズをしているとき、首をすこしねじり、目線を上または、斜め上に向けるよう指示されることはありませんか。これは、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)や斜角筋といった首周りの呼吸筋も一緒に伸ばすためにしています。

体側を伸ばす動作は背中や腰の筋肉、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)や腰方形筋(ようほうけいきん)と呼ばれる筋肉を伸ばします。
脊柱起立筋は、常に脊柱を真っ直ぐに保つ筋肉です。首か骨盤にかけて小さい筋肉が繋がって背骨を動かす筋肉です。この筋肉は常に使うので、同じ姿勢を続けているとすぐ強張ります。体側を伸ばすことで、筋肉の緊張をほぐします。
また、腰方形筋はろっ骨と骨盤をつなぐ筋肉です。骨盤や腰の骨(腰椎)を正しい位置に保つ重要な役割をしています。
ただし、以下のような体の使いかたをすると、この筋肉が強張り、コリにつながります。また、体の使いかたで左右差が生まれると骨盤のズレ、腰痛を悪化させる原因になりかねません。
- 同じ姿勢を長くしている
- 重い荷物をよく持つ
- 姿勢が悪いなど
- いつも同じ足で組んで座る
- 同じ肩だけにカバンをかけている
それを解消するには、体側を伸ばしてこの筋肉のストレッチします。硬さをほどいたり、不均等な筋力バランスを調整する手助けをしています。

言われたとおりにしているのにポーズの良さが感じられない。そう思ったら、以下の状態でしているかもしれません。体側を伸ばすとき、以下のような姿勢でポーズすると、効果が半減してしまいます。あなたもこれに心当たりがありませんか?
- 猫背や反り腰の状態でしている
- 前のめりになったまま、体をたおしている
体側を伸ばすとき、正しい姿勢でなかったり、体をたおす角度が違うと伸ばす筋肉に効きません。以下のことを意識してくださいね。

背骨を曲げずに真横にたおす。これを意識してすると伸びもっと感じられます。背骨をまっすぐに保ちながら、真横に上体をたおすことが重要です。背中を丸めてしまうと、体側の筋肉が十分に伸びません。次のことを意識してポーズをとりましょう。
- 背中を上に伸ばす(ろっ骨の突き出し、背中の反り気をつける)
- 腰骨からしっかりと体側を伸ばす感覚を意識する。
- 上体が45度以上傾いていないか (上体が傾く角度は40~45度ぐらいが限界です)
また、猫背な人は、上体を起こして顔と胸を正面に向けてからおこないましょう。反り腰な人は、腹筋を使いみぞうち辺りを引っ込めると体側がのびやすくなります。
自分の姿勢は普段の生活のくせで、自然と背中が丸くなっていたり、反れていることはあります。気になる人は、自分の姿勢をチェックしてくださいね。

なお、体側を伸ばす三角のポーズは、ポーズの取り方が複数あり、股関節を曲げてする方法もあります。45度以上傾いていたら、両方の体側を伸ばす目的ではないと判断してくださいね。
腰の筋肉をストレッチするには、わき腹もしっかり伸びていること。上体の傾きが浅く、胸の位置で伸びが止まっている人をたまに見かけます。ウエストに伸びが感じられるところまで傾けてくださいね。
また、傾く角度を気にしすぎて、お尻や座骨が浮いていることもあります。座骨やお尻はしっかり床についていることを意識して伸ばしてください。さらに伸ばしたい人は、上げた手を斜め上に伸ばすと、強度が増します。たおす角度は腰骨(骨盤の上辺のところ)から伸びる感じがするところまで。無理に傾けず、心地よくのびていることを心がけてくださいね。

壁を使ってポーズをとると、自分のたおしかたのクセがわかります。壁から10センチ程度離れて、座って体側を伸ばすポーズや三角のポーズをします。
猫背な状態でしていると壁にぶつかり、前のめりでしていると手を後ろに引いても壁につきません。ポイントは、壁に沿うように真横に上体をたおしてくださいね。
ここでは、レッスンや動画でする代表的な体側を伸ばすポーズと、その効果を引き出すポイントをまとめました。ポーズがうまくいかないと感じたら、次の点に注意してくださいね。

ポーズ名 | 効果 | ポイント |
ウティッタ トリコナーサナ (三角のポーズ) | 腰や体幹を強化 足や股関節の柔軟性も高める | 上体を横にたおすとき、股関節から上体をたおし、体をまっすぐに保つ。軽く上体をひねる。 前にたおれないように、顔や胸を正面にむけ、背骨を丸めないように保つこと。 深く傾けるポーズは、太ももの裏側とお尻の柔軟性が必要。無理せず、体側が伸びることを優先。 |
ウティッタ パールシュヴァ コーナ―サナ(体側を伸ばすポーズ) | 足腰を鍛えて体幹を強化 股関節の柔軟性も高める | 前足の太ももに置く手で上体を支えない。 体幹でしっかり上体を支える。 上体をたおすとき、かるくひねって伸ばす 前足のひざが足首より前にこないようにする (ひざは足首の位置が後ろ) |
立位の三日月のポーズ (ウティッタ ハスターサナのバリエーション) | 体側の強張りをほどき、左右のバランスを整える | 両足でしっかり踏み込み、体を安定させる。 伸ばす側の骨盤をすこし真横に突き出しポーズをとる。 (腰骨から伸ばしやすくします) |
パリガーサナ (かんぬきのポーズ) | 太ももと呼吸筋、体側の柔軟性を高める | 上体をたおすときは真横に。 下の手を滑らせながら上体をたおす。 無理に傾けようとせずに心地よく伸びるところでキープ。 上を向くときは首を無理にひねらず、自然に天井を見るようにする。 |

ポーズ名 | 効果 | ポイント |
座って体側を伸ばすポーズ (スカアーサナのバリエーション) | 腰やわき腹のこわばりをほぐし、 わき腹の筋肉を伸ばす | 両座骨を床につけ、お尻が浮かないようにする。 顔や胸を正面に向かせ、背筋を伸ばしながら真横にたおす。 伸びが足りないと感じたら、手を斜め上に伸ばしてさらに深める。 |
バナナのポーズ (バナナサナ) | リラックスが高いポーズ 体側の左右の筋力バランスを整える | 伸ばしている側の骨盤が浮かないようにする。 両足を横にずらす位置は30cm~40cm程度 両側の肩甲骨を床に押しながら、片手で伸ばしている側の手首をつかみ上に伸ばす 伸ばしている側の肩が上がるほど手を伸ばしすぎないようにする |
片足を伸ばしてねじるポーズ (パリブルッタ ジャーヌ シルシャアーサナ) | 太ももの裏側やお尻、 体側の柔軟性を高める | 骨盤を立てて、股関節から上体をたおす。 太ももの裏側に負荷がかかるので、体側を傾ける角度は心地よく伸びを感じるところまで。 手を床につく位置は手の付きやすいところで。体側より遠くにおかないようにする。 上体をねじるときは軽くする程度。体側がしっかり伸びていればOK。 |

ヨガの練習をするときは、これらのポイントを忘れずにしてくださいね。
デスクワークや長時間の同じ姿勢で固まった体を放置せず、気持ちよく体側を伸ばしましょう。ねじるポーズと組み合わせることでさらに効果を高めます。
体側を意識的に伸ばすことは、腰や背中のこりの解消に役立つだけでなく、呼吸を深くし、気持ちもリセットしてくれる大切なひとときです。少しの意識で体は確実に変わります。ぜひ毎日の生活に取り入れてみてくださいね。
