ヨガポーズでおなじみのダウンドック、下向きの犬のポーズ。この逆転のポーズは体にとっていいことが詰まっています。
足の背面の血行がよくなり足のむくみが軽減。脳内血流が促進し、頭がスッキリする。両手両足で体を支えるので、腕や肩や背中が強化される。など、このポーズから得られることはたくさん。そして、お休みのポーズとして、呼吸を整えるときにも用いられています。
でも、このポーズが苦手でつらいと感じていませんか。実は、このポーズはヨガ初心者や初級者にとって陥りやすいポイントがあります。意外とダウンドックはむずかしい。原因を見つけて少しずつ修正してくださいね。
練習を重ねていくうちに、苦手意識はなくなります。その頃には、ヨガの良さを実感できて、ますますヨガが好きになるかもしれません。
ポーズが台形になってしまう
原因はわきが開いていないこと。わきの開きが狭いと肩が伸びず、手先から腰骨まで一直線にできません。
肩が頭の位置より上にきていませんか。以下のことをすると改善します。
両わきを床に見せるように伸ばす
お尻や足を後ろへ引く
肩をすこし落とす
背中が丸い
お尻と太ももの柔軟性が足りないと、背中は丸くなります。
ダウンドックはお尻と太ももの裏側を強く伸ばします。お尻と太ももが硬いと腰が伸びないため、背骨が曲がります。以下のことをすると背中がまっすぐになります。
ひざを曲げてする
前屈を深めて、お尻と太ももの柔らかくする
おすすめは、ダウンドックと一緒に前屈も練習すること。前屈ができると、ダウンドックが楽になります。前屈で指先が床につかないときは、ひざを曲げておこないましょう。
ヨガは心地よくするのが大前提。無理しない練習も立派なこと。時間をかけて太ももとお尻の柔軟性を上げるようにしてくださいね。
肩や腰が痛い、手首、手が痛い
胸と肩が落ちていませんか。もしくは、腰が反れていませんか。ダウンドックは腕、肩、背中も伸ばします。以下のことをすると肩や腰の痛みが解消されると思います。
背中が柔らかい人は、背中が反りやすいので気をつけて。肩から腰骨まで体側に伸びを感じるところで背中をキープしましょう。
腹筋を使って上体を支える
肩を外側に開き、首のつまりをなくす(肩と首の間があいているか)
肩から腰骨まで体側の伸びが感じているか
両手を床に押して、ひじを伸ばす(ひじの伸ばしすぎに注意)
また、手首や手が痛いのは、体にかかる負荷がそこに集中している証拠。以下のことをすると、負荷が分散され手や手首の負荷が軽くなりますよ。
かかと、足裏をグッと下に押し出す
腹筋を使って上体を持ち上げる
お尻を後ろに引く(重心を後ろに移動させる)
手のひら全体で床を押す
デスクワークの人はかかとを強く下に押すと、アキレス腱や筋肉のツッパリ感がでると思います。はじめはゆっくりと伸ばすようにしましょう。2回、3回と練習を重ねていくと強張りがほぐれ、足が床につくこともありますよ。
なお、シヴァナンダヨガを練習している人は、手や足の位置がハタヨガと異なります。ダウンドックはリラックスポーズの一つとして捉えているため、自分のしやすい位置におくよう言われています。また、背中も多少反ったままでも差し支えありません。
ダウンドックは上半身と下半身を分けて練習すると上達します。ポーズが台形になる人、肩が落ちている人、手が痛い人は上半身の練習から始めてください。背中が丸くなる人は、前屈でお尻と太ももの柔軟性を上げてくださいね。
上半身の練習
子犬のポーズで肩の位置、両手と腹筋の使いかたを覚えましょう。子犬のポーズはひざ立ちの状態でダウンドックをしています。
ここでは、手のひら全体で床を押すこと、わきの開き具合と肩の使いかたと位置、腹筋を使うことを意識して、体に覚えさせます。両手、肩、背中が一直線上になり、伸びが感じられるようになったら、ダウンドックをしましょう。
下半身の練習
深い前屈のポーズでお尻と太ももの柔軟を上げましょう。前屈がまったくできない人は壁を使った前屈、立った犬のポーズがおすすめです。お尻と太ももの柔軟性を上げたい人は、ひざを曲げて前屈しましょう。
前屈のポーズについては、こちらで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてくださいね。
ダウンドックは逆転のポーズの一つです。血流が頭部に向かい、血圧も変わります。残念ながら、ダウンドックは人を選びます。以下の状態な人、疾患をお持ちのかたは基本的に避けてくださいね。
- 生理中
経血の逆流を引き起こす可能性があります。また、貧血やふらつきなどの症状が出やすくなります。
ご自身の状況に応じて判断してください。 - 手首や肩のケガをしている
手首や肩に負担がかかるため、怪我を悪化させる恐れがあります。 - 高血圧や心臓病をお持ちのかた
血圧が急激に変動する可能性があり、リスクが高まるため。 - 眼圧が高い人や緑内障、網膜剝離をお持ちのかた
眼圧がさらに上昇し、悪化させる可能性があります。
ポーズの完成形を目指すのもいいですが、自分に集中して自分の体とじっくり対話しながら練習してください。それに、ダウンドックが楽になる過程を楽しむのがヨガの醍醐味でもあります。
繰り返しですが、ヨガは心地よくすることが大前提。ご自分の体と心が喜ぶことを優先してください。ダウンドックが楽にできると、お休みしている感覚が体の中で生まれます。ご自分のペースでこの感覚を味わってくださいね。