ヨガをする人なら一度は習う太陽礼拝。 古来のインドで行われた、太陽の神への敬意や感謝を表す行為から生まれたと言われています。(諸説あり)現在レッスンでしている内容は、20世紀初頭にヨガの普及とともに広まったもの。 いくつかポーズを組み合わせ、呼吸にあわせて体の大きな筋肉を動かします。
この太陽礼拝ですが、レッスンによって若干の違いがあります。ひとりで違ったことをして、恥ずかしい思いをしたことがないですか。また、動きが読めず、必死に追いかけた経験があると思います。
そんな太陽礼拝のバリエーションの特徴をまとめました。今後はレッスン中に戸惑わなくなると思います。ポーズは少し違っていても、左右が逆でも大丈夫。そのまま進めてくださいね。ご自身が心地よくしていることを優先してくださいね。
太陽礼拝が統一されていないのは、ヨガの発展とともにさまざまなスタイルのヨガが生まれたこと。そして、それらが世界的に普及されてきたことです。シークエンス(一連の動き)は、大きくわけて4つのパターンが存在しています。
- ハタヨガの太陽礼拝
- シヴァナンダヨガの太陽礼拝
- アシュタンガヨガの太陽礼拝A
- アシュタンガヨガの太陽礼拝B
どれも体を前後上下に移動させ、呼吸にあわせて体を動かします。とくに良し悪しはありません。それぞれの特徴をいかした構成になっています。
ほとんどの大手ヨガスタジオで採用しているものは、ハタヨガの太陽礼拝。8つのポーズを取り入れて、12の動きでシークエンスを作っています。
構成(バリエーション)が幅広くあり、そして、動きのテンポやポーズのキープ時間までクラスによってまちまちです。また、フローヨガやパワーヨガのシークエンスのベースにもなっています。おもに以下の特徴があります。
- 前屈のあとに半分の前屈(アルダ ウッターナサナ)をする
- 半分の前屈または前屈のあとに、プランクポーズ(板のポーズ)をする
- 下向きの犬のポーズ(ダウンドック)のあとに、他のポーズを入れてアレンジをする
詳しいポーズの解説については、こちらを参考にしてくださいね。
シヴァナンダヨガは、創始者のスワミ・シヴァナンダ氏の教えに基づき、インドの伝統的なスタイルで健康と精神の成長を促進するヨガです。
レッスンですることがある程度決められていて、ハタヨガではあまりしない逆転のポーズもします。はじめにマントラや呼吸法を行い、ポーズの合間にお休みのポーズ(シャヴァアーサナ)が入ります。
天を仰ぎながら流れるように体を動かし、股関節を前後に開く動きがあるのが特徴的。呼吸法で息を整えてから実践します。8つのポーズを組み合わせ、12の動きで構成されています。以下のような違いもあります。
- 両手を上に伸ばすポーズ(ウールドヴァ ハスターサナ)では上体を反らす
- 前屈のポーズからランジのポーズをする
- 四肢で支える枝のポーズ(チャトランガ ダンダーサナ)の代わりに八点のポーズをする
- 1呼吸、1動作でポーズをとり、3回以上繰り返しておこなう(12回繰り返すことも)
上級者になると、目を閉じておこなうと言われています。外からの刺激が半減するので、より自分に集中しやすくなります。おうちでするときは、周りに障害物がないところでおこなってくださいね。
シヴァナンダヨガの太陽礼拝の詳しい解説はここでチェック。
南インドのマイソールシティから世界中に広まったアシュタンガヨガ。パワーヨガやヴィンヤサヨガの基と言われています。「八支則」と呼ばれるヨガ哲学に基づいてポーズを深め、心と体のバランスを整えます。
はじめに教わるプライマリーシリーズ。それをマスターしたら、インターメディエイトシリーズへ。あらかじめ教わるポーズの順番が決まっています。このプライマリーシリーズのはじめにするのが太陽礼拝。A、Bの順で練習します。アシュタンガヨガの場合、以下の特徴があります。
- 両手を上に伸ばすポーズのときは体を反らす
- 板のポーズ(プランク)はしない
- 上向きの犬のポーズをする(初心者はコブラのポーズから)
- 体を前後に動かすときは、マットに足がつかないよう浮かせる(ジャンプ)
- Bでは、椅子のポーズと英雄のポーズが入る
ポーズの順番を覚えたら、ヴィンヤサ(ポーズとポーズの間の動き)、バンダ(締め付け、エネルギーロック)、ドリシュティ(目線、感覚の制御)と呼ばれる手法を使って練習を深めます。
アシュタンガヨガの太陽礼拝の詳しい解説はここで確認してくださいね。
どれも準備運動の位置づけになりがちですが、体にいい影響を与えます。体を上下に動かすことで上半身の筋肉、お尻や両脚の後側の筋肉を伸ばします。それにより、以下の効果があると言われています。
- 肩こりが軽減する (肩の筋肉がほぐれ血行が良くなる)
- 骨盤が動かしやすくなる (お尻や太ももの裏側を柔らかくする)
- 猫背、反り腰が改善する (姿勢を保つ筋肉、抗重力筋を強化する)
- 便秘の改善 (上体の前側の伸展や腹圧の強化で胃腸を刺激する)
- 頭がスッキリする (頭の血流が良くなる。意識的な呼吸で血中酸素が増加する)
また、繰り返して行うので、以下のようなヨガの基本的な体の使いかたや技法が身につきます。
- 下腹部を強くする(上半身の安定)
- 前屈のしかた、深めかた
- 後屈のしかた (腰の負担を軽減して体を反らす)
- 肩の安定(ハンドスタンド、逆転のポーズ)
- 体にかかる負荷の分散
- バンダ(締め付け)
- ポーズと呼吸を連動させること など
レッスンのはじめにおこなうことが多いので、なんとなくしている人が多いかもしれません。意識するとヨガの向上につながりますよ。この機会に太陽礼拝をしっかりマスターしてくださいね。