レッスンの途中でするバランスポーズ。バランス感覚は体を支える能力を養います。ヨガで片足立ちになるのは、あえて悪い状態に自分を置き、自然に体勢を修正する力を高めるため。
また、それを利用して自分に意識を向けさせ、自分の軸に注力することで集中力が向上します。さらに、呼吸で自分の感情もコントロールできることに気づきます。
とは言え、苦手で長く保つことができない。いつもグラグラしてしまう。バランスポーズで安定感、軸を感じたいひとへ。著者が経験し改善した、ふらつきがおさまるポイントをまとめました。
バランスを不安定にする原因は6つあります。該当するものがあったら改善してくださいね。立位バランスは木のポーズから、アームバランスはカラスのポーズから練習してください。
踏みこみが甘い
足元がぐらつくとバランスは崩れます。足元、足裏でしっかりと床を捉えているか確認しましょう。足裏3点、または4点(かかとの両側、親指の付け根、小指の付け根)をグッと踏み込んでいますか。
また、足指や足首、ふくらはぎが硬いと踏みづらいので、強張りをほどいて踏みやすくしておきましょう。
足指は、足指運動(足指じゃんけん)やタオルギャザー、足首は手を使ったストレッチや足首回しなど、ふくらはぎはダウンドックが有効です。
そして、ふくらはぎや足首を強化すると、不安定さもおさまります。筋トレのカーフレイズ、ヨガではヤシの木のポーズも有効です。
足の筋力が衰えている
しっかり踏み込んでいるのにふらつく人は、そもそも足の筋力が衰えているかもしれません。足の筋力が弱っていると、ひざ関節、股関節を固定させることができません。
脚力を上げるには、立位のポーズ(特にハイランジ)をしっかり練習しましょう。できればキープ時間を長くして数種類をおこなうことをおすすめします。足を上げた片足ダウンドック→片足を曲げた片足の板のポーズ→ローランジを繰り返す練習なども有効です。
また、ウォーキングや階段の昇り降りなど。普段から足を動かすことを意識してくださいね。
また、反り腰な人は、無意識に太ももの前側を突き出しています。股関節を後ろに引いて、足首、ひざ、股関節(足の付け根)が一直線上になるように、山のポーズで確認しておきましょう。
骨盤が傾いている
骨盤が安定しないとポーズも安定しません。途中で骨盤が動くとバランスを崩しやすくなります。インナーマッスル、お尻、太ももの筋肉を使っていないとぐらつきます。以下の筋肉を使って、骨盤の位置をキープさせましょう。
- お尻と下腹部の筋肉に力を入れて、骨盤の前後の位置を整え安定させる
- お尻の外側と太ももの内側の筋肉で、骨盤の左右の位置を整え安定させる
たとえば、木のポーズでふらついたとき。上げた足の裏と軸足の太ももの内側で押しあうと軸が安定するのは、軸足の内側の筋肉が使えていない証拠です。女性はとくに太ももの内側の筋肉が弱い傾向にあります。
また、半月のポーズ(アルダチャンドラ)や戦士のポーズ3など、両足の方向や軸足と骨盤の位置が違うとき、骨盤が傾きやすく不安定になりがちです。軸足を固定したまま、骨盤をたおすため、太ももの筋肉の柔軟性や強さ、体幹の強さが必要です。加えて、上足の向きで骨盤が変わるので、気をつけましょう。
- 半月のポーズ
上足は後ろに出さない (上体や頭と一直線上にあること) - 戦士のポーズ3
上足を横に出さない (指先とヒザを真下に向ける)
骨盤が固定しづらいときは、体幹を鍛えるプランク、太ももを鍛える椅子のポーズや女神のポーズ(ワイドスクワット)、立位のポーズを練習してくださいね。
体幹が安定しない
下腹部に力を入れていないと体幹がぐらつきます! 体の前面と背面の筋肉で上体のバランスを保ちましょう。上体の姿勢は、背骨の筋肉とおなかにある筋肉、体幹で支えています。体幹を強くする、プランクやチャトランガ ダンダーサナ(四肢で支える杖のポーズ)で強くしましょう。
下腹部は常に軽く力を入れる習慣をつけると猫背や反り腰防止に役立ちます。
また、木のポーズで両手を上げたらふらつく人は、ろっ骨を前に突き出すクセがあるので気を付けてくださいね。反り腰の人はみぞうちを引っ込めることを意識してください。
そして、基本姿勢が怠ったままに片足を上げてしまうと、重心や軸がぶれて、体のふらつきを抑えることに必死になりがちです。ご自分のペースで段階を踏みながらバランスポーズをしましょう。普段から山のポーズをして、自分の体に覚えさせると慌てずに済みますね。
アンバランスな状態で体幹を強くさせると、普段の姿勢でさらに強くなります。キレイな姿勢を目指すならバランスポーズは不可欠です。
腕力や肩を固定する力が足りない
アームバランスの要である、腕力や肩の固定。腕の力がないと体を支える力が半減します。また、肩回りの筋肉が使えていないと肩関節が安定せずグラグラします。
太陽礼拝のシークエンスの一部、チャトランガ ダンダーサナからアッパードックに移動するとき、上体を床につけずにできていればOK。肩回りの筋肉で肩関節を固定するには、後屈でする肩を引く練習も加えてくださいね。
二の腕の強くする練習は、ダウンドック、プールヴォッターナ―ナ(東を強くするポーズ)、アッパードックなどが有効です。また、板のポーズ(プランクポーズ)とチャトランガ ダンダーサナを繰り返す動きも上腕に効きます。
目線が定まっていない
目線が定まっていないと周りの音や気配に敏感です。ちょっとした音で緊張感や集中が途切れ、バランスが崩れることもあります。外部の刺激を制御して自分に集中するには、顔を正面に向けて目線を一点に集めてください。
アシュタンガヨガには、ドリシュティと呼ばれる手法があります。一点を凝視するのでなく、目線をそこに置き、自分の内側に意識を向けること。これで、バランス感覚を研ぎ澄まし、ポーズに集中できます。
また、自分の呼吸に意識を向けることも、外部からの刺激を和らげます。
中上級者向けのものが比較的多いのですが、おうちでできるものをまとめ、簡単に解説しました。木のポーズやカラスのポーズで30秒キープできるようになったら、チャレンジしてみてくださいね。
片足立ちのポーズ
- 木のポーズ
最初に習うバランスポーズの基本。軸足や体の軸をしっかりしたい人は、長くキープしてみましょう - ワシのポーズ
足や手のむくみ、肩のこわばりをゆるめるポーズです。気を付けたいポイントは、足と手は逆にねじること。
右ひじを上にして手を絡めたら、左ひざを上にして足を絡めるようにしましょう。(左ひじが上の場合、右ひざを上)軸足の踏みこみ、両足を押し合うことで体が安定します。さらに上体を安定させるために背中の丸まりに気を付けて、下腹部に力をいれましょう。 - 半月のポーズ
三角のポーズから発展するバランスポーズです。両手両足を同じ側に傾けます。人によっては上体の傾く角度が急な坂のようにきつくなることも。難しいときは、ヨガブロックを下の手に置いて、上体の角度を緩くしましょう。 - 片足上げのポーズ
片足を上げて、同じ側の手で足の親指をつかんで前に出します。できる人は足を横に広げてみましょう。太ももやお尻の柔軟性も要求されるので、開脚、前屈ができる人はチャレンジしてください。 - 戦士のポーズ3
別名はT字バランス。軸足、上足、両手の3方向に力を入れ、負荷を分散させます。骨盤は床と並行に、上足の足先は床の方向にします。軸足の足裏、足首、体幹を強くして軸をしっかりさせましょう。骨盤と上足が外側にむかないように気をつけます。
アームバランス
- ダウンドック
ダウンドックは逆転しながら両腕両足で体を支えます。片足を上げて、さらに肩や腕の使いかたを体に覚えさせましょう。 - ヴァシシュタのポーズ
半月のポーズと同様に、片足片手でバランスを取ります。サイドプランクと呼ばれており、腹筋や肩の筋肉、脚力を鍛えます。慣れてきたら、片手片足を上げたり、片足を軸足の太ももの内側に置いたりします。(木のポーズと同じ足の形です) - カラスのポーズ
アームバランスの練習ではじめに習います。腕や肩を強化します。ポーズのコアとなる両腕を、太ももの内側で外側から押すとバランスが安定しますよ。 - 蛍のポーズ
カラスのポーズと同じく、はじめに教わるポーズです。両腕で体を支えつつ、太ももの内側で両腕を外側から押し付けて体を安定させます。ひじが外に広がりやすいので、両手を床につくときは、かかとの真後ろに置きましょう。
大人になると不必要な動きをしなくなるので、あえてアンバランスなところに身を置くことはしません。だからこそ、とっさの動きに鈍くなりケガをしやすくなります。日頃から練習してバランス感覚を養ってくださいね。
バランスポーズが安定すると心の安定が訪れます。それは、バランス感覚や集中力の向上、姿勢改善の相乗効果によるもの。日々行っていると出来の違いで自分の心理状況も見えてきます。木のポーズが長くできると、見えてくる世界が変わることを実感してくださいね。