
ヨガをはじめて直面する体の硬さ。レッスン中、あるポーズで自分だけできなかった。苦手なポーズが多くてする意味が分からない。そんな経験があると思います。
また、ヨガは柔軟性を要求するポーズがたくさん。中にはこのポーズができるようになりたい!と憧れるものも。でも、自分がすると体が硬すぎてできない。頑張って練習したけどケガしてしまった。そんな人へストレッチの極意をお教えします。
これで無理をせずに、長時間のスパンで取り組む理由がわかります。気持ちよくヨガすることの素晴らしさを身につけて、ヨガを続けてくださいね

ヨガが目指す体は、ケガや不調をなくすこと。そして、気を巡りやすくすること。
同じ姿勢でいると筋肉が強張りうまく機能しません。それをほぐすためにストレッチ効果のあるポーズをとり、体を整えます。また、筋肉を伸ばすこと(正確には筋肉を緩めること)は、伸ばす筋肉と相反する筋肉が収縮しないとできません。
たとえば、右の体側を伸ばすとき。筋肉の状態は、右側の体側が伸びて左の体側が縮まります。意識的に体を左側へたおすのだから当たり前。と、思いますが、解剖学的には、右の体側が伸びることは、左わき腹の筋肉が収縮し、右わき腹の筋肉が緩む状態にあることです。
また、収縮する筋肉に筋力がないとストレッチを深めることはできません。体が硬い人は筋力が不足している傾向にあります。ストレッチするには多少の筋力が必要なことを知ってくださいね。

ストレッチの主な目的は、関節の可動域を広げて、ケガをなくすこと。
筋肉の強張りが生まれると筋肉の柔軟性が低下します。硬くなった筋肉は、関節や骨の動きを詰まらせ制限をかけ、体の動きを鈍くします。ストレッチで強張った筋肉をほぐし、関節が本来の可動域が戻る。そしてポーズの深まりを感じられるようになります。
さらに、滞っていた体の巡りがよくなり、むくみや冷えが軽減する、血管を柔らかくするといった相乗効果もあります。
息を吐いて、力を緩める。このクセをつけることです。
息をとめ、力んだ状態でストレッチすると、筋が緊張し筋肉が伸びません。そうなると、意識が無理に筋肉を伸ばそうと傾いてしまい、オーバーストレッチを誘発しかねることに。
それを阻止するために、息を吐いて力を抜くことを促します。また、人間は吐くと反動的に息を吸います。吐きながら伸ばすことを意識すると呼吸が続きます。これで練習中の血圧の上昇も防げますね。
そして、ゆっくり呼吸することで、自律神経の副交感神経が優勢になり、気持ちが落ち着きます。
ストレッチをしていると感じる壁はあります。それは体の機能や機能の向上に限界があるからです。1カ月で成果がでた人は、もともとその能力が体に備わっていて、それが覚醒できた人だと思っています。
だからといって諦めるのはもったいないこと。以下のことを知っておけば、焦る必要もなくなります。

残念ながら、骨の形状や腱の長さ強さには個人差があるため、ポーズによってはできる、できないがどうしても生まれます。
一つ目は、骨の形状は成長期で形成され、成長がとまると骨の形状は固定されること。これは、関節や骨盤の形状も同じです。
二つ目は、骨のつなぎ関節を作る靭帯(じんたい)。これも過去のケガで伸びたり、加齢で硬くなることなど、個人差があるといわれています。
それらによりポーズがしづらくなることが起こります。たとえば、開脚の練習で無理してケガをしたとき。大半の人は筋肉を傷める程度ですが、まれに骨や靭帯を損傷する事態に発展することがあります。

筋肉はゴムのように伸びません。正確には弛緩(ゆるみ)している状態。筋肉は本来の長さで緩んでいます。
では、どうやって筋肉の柔軟性を上げて以前より体が伸びるか。それはストレッチで筋肉の長さを少しずつ長くすることです。
そのためには、
- 毎日、継続しておこなうこと。
- 痛気持ちよく感じるところまで伸ばすこと(筋肉の硬直はしすぎのサインです)
- 少なくても、2、3回はおこなうこと (1回目より2回目のほうがしやすく感じると思います)
ストレッチに慣れていない人は、まず自分の心地よい位置を覚えてください。それがわかると、痛気持ちよく感じる程度が想像できると思います。
1日、1ミリ伸ばす気持ちで続けてくださいね。体が少し柔らかくなったと感じるまで、3カ月はかかると言われています。また、伸ばしたときにピリついたり、痛みが走ることは、オーバストレッチをしている証拠です。

体を伸ばしているとき、体が感じることを適切に判断することが重要です。それには、体のサインを冷静に受け止めること。練習中やヨガのあとに、体が出すサインは以下のことが考えられます。
時間が経っても痛みが治まらない、ひどい痛みを感じたら、ストレッチはいったんお休みしましょう。医療機関を受診してください。
ポーズ中に感じるサイン
- お肉のツッパリ感
筋肉の柔軟性が不足。地道に体を伸ばしていこう - 突っかかる感じ
骨格の可動域の限界を知らせるサイン。これ以上は広げたり伸ばすことはできません。 - 何も感じないが引っかかる
靭帯の限界を知らせるサイン。これ以上は広げたり伸ばすことはできません。
ヨガをしたあとに出るサイン
- 眉間のしわ、頭痛
がんばり過ぎている。呼吸していない証拠。ゆったりした呼吸をしながらポーズをとりましょう。
(ホットヨガなど、高温多湿なところは起こりやすいです) - 筋肉の鈍痛、筋が痛い
オーバーストレッチ。無理に伸ばしすぎている。負荷をかけすぎている。 - ひざや手首などの関節の痛み
筋肉を使わず、骨や関節に頼っている

これは神経筋協応能といい、神経と筋、関節、靭帯などの調和を意味します。要は、脳の指令と筋肉の動きがうまく連動しているかです。
たとえば、前屈を取っているときに、太ももの裏側は程よく伸びているか。骨盤ごと上体を倒しているか。など、ポーズを取りながら伸ばしている筋肉の状態を確認します。そして、呼吸に合わせて体をうごかすこともこの機能を動かしています。
ただし、運動不足や筋肉の状態がよくないとこの連動はうまく行きません。平らな道でつまずく、バランス機能が低下、そして体の動きが鈍ります。それをストレッチすることで、機能を高める役割をします。
体の柔らかさを感じるには、継続と地道な努力で成り立つものと思っています。著者は、ストレッチの高いポーズを挑戦してケガした身なので、するたびに落ち込む日々がありました。
それでも続けて、柔軟性を要するポーズができるようになりました。そこで気づいたことは、「気持ちよく終えることの大切さ」です。
また、ストレッチは神経内分泌物のエンドルフィンを誘発します。それは幸せホルモンと呼ばれ、リラックスや幸せ感を高めるものです。生理学的に、ストレッチやヨガをしたあとの幸福感はこのホルモンのおかげといわれています。
おうちでのヨガなら、周りと比較せずに済みます。自分が心地よくできる環境にありますね。無理しないストレッチを続けて、ホルモン効果でリラックスしてくださいね。
